さらに使いこなそう

星影の
動きを撮る

忘れられない夜空の旋回を動画にして届ける方法。

もしも街の灯りがみんな消えて、夜の闇が訪れたら、どのような世界が現れるのでしょうか。電灯が発明される以前、ほんの100年ほど前まで、人類は今とは違う夜の世界で生きていたのでしょう。

それは真っ暗な空間ではなく、きっと驚くほどの数の星が輝く世界のはずです。都会の疲れた夜でさえ、静けさの中に小さく輝くまばらな星が、幾千、幾万光年を超えて、孤独な帰り道を照らしてくれているのだと思うと、ほんの少しさみしさが紛れるような気がします。

さあ、暗闇を抜けて、星空を見上げに出かけましょう。

街に暮らす私たち人類の多くが、もう長いこと見ていない本当の暗闇の中で見上げる夜空を求めて、星の集まる美しい高原にやってきました。高原の中央には、霧の最中に人々を導くための鐘がおさめられた塔がそびえています。それ以外は360度のパノラマで星影が広がるこの場所で、今日は夜空を撮影していきます。

星空の地図を空にかざす

高原と塔を照らす星たちの灯り。その一つひとつの光は、何万光年という遥か宇宙の遠くで輝いたもので、それは時間と空間を超えて届いた刹那の出来事の、ゆるがない存在証明でもあります。

圧倒的な満天の星空のどこを撮影したらよいか。主役となるモチーフを探すのに「Star Walk 2 プラス」が役立ちます。星空の地図とも言える星図を見るためのアプリで、AR(現実拡張)を使って星図を実際の夜空に投影して眺めることができます。あるいは紹介されている天体のイベントから今日の主役を決めて、その位置を確認しましょう。

毎日夜は訪れて、頭上には同じく空が広がっているけれど、見える星空はいつもその日限りの配置です。「Star Walk 2 プラス」の中では、時間や場所を設定して、その時、その場所の星空の配置を眺めることもできます。133年前のあの日も、同じようにペルセウス座から流星が降り注いだのだろうか、と、星空の時間旅行を楽しむこともできます。

月が沈むのを待つ

星空を撮影する時に、鍵となるのが月の存在です。月の明かりは星に比べると大きく強いためです。月の光が撮影に影響しないよう、月が沈むのを待ちます。月の入りの正しい時間や位置を知りたい時には「サン・サーベイヤー」を使います。

「サン・サーベイヤー」では、太陽と月の入りと出の時間と場所を教えてくれます。ARで、太陽と月の動きを立体的なアニメーションで現場に重ねて写すこともできます。

今日の月の入りは、21時28分。天候は、衛星からの気象データをアニメーションで表示してくれる「Windy.com」で確認します。夜明けまで晴天。いよいよ、星空を撮影していきます。

星空の中心点の見つけ方

天空は北半球から見ると、北極星を中心に回転しています。今日はその様子をタイムラプス動画にします。北極星の位置を探すだけならコンパスでもできますが、天空の回転をより美しく撮影したい時には「Photo Pills」を使うのが便利です。

「Photo Pills」は、天空の回転円がカメラの画角の中でどのようなレイアウトで配置されるかを確認できます。「スタートレイル」という機能を使って、ARでシミュレーションのレイアウトを現在地に投影できるので、例えば、今夜のように塔を中央に、その周囲に星の回転円をできるだけ正円で収めたい時などに、どの場所と角度で三脚を設置すればよいかがシミュレーションできます。

また、回転の軌跡を描く線をどれくらいの長さにしたいかも、シミュレーションできます。例えば、線が完全な円になるよりも途切れながらいくつも連なるようにしたい時には、4時間9分37秒カメラを固定して撮影すればよいと教えてくれます。

天空の回転がある程度の長さの線を描くよう撮影するには長時間かかるので、事前にその仕上がりをシミュレーションできるのはとても便利です。

星影が写す地球の動き

星影という言葉は、星の光によって作られる影を意味する一方で、星の光や星明かりそのものも意味します。その繊細な美しさをカメラで捉えるために、夜空の撮影に特化したアプリの「NightCapカメラ」を使います。

「写真カメラオプション」で「長時間露出モード」を選び、何秒ごとにシャッターを切るか、それをどれくらい繰り返すか、また露出やフォーカスをあてるものなどを設定します。録画を始めたら、あとは「Photo Pills」で確認した撮影時間を静かに待ちます。他の人工の灯りが録画に写り込まないよう、夜の自然な闇を見守ります。

三脚にiPhoneを設置して、「NightCapカメラ」を使って、夕方から明け方まで撮影を続けます。

遥かな時空の中で、消えることのない美しい瞬間。息を詰めてカメラが規則正しくシャッターを切るのを聞いていると、静かで穏やかな幸せを感じます。

夜をかけてタイムラプス写真を撮り終えたら、「Star Stacker」を使って動画を作成しましょう。「Star Stacker」は日本語に対応していないアプリですが操作は簡単で、すべてのタイムラプス用写真を選択して、出力先を選ぶだけで、画像をレンダリングして1つの動画にしてくれます。

無数の巡る星々と屹立とあり続ける塔が生み出す光景。塔の周囲に水の波紋のような円が描かれていきます。これほど美しい星空をどうして私たち人類は隠してしまうのでしょうか。

星空を届ける

地球に暮らす人たちは、普段、地球の動く速度を感じないまま生きています。レンダリングが終わった動画を再生すると、静かに光の軌跡が伸びていきます。まるで地球の動く速度で、一つひとつの点が線へと続いていくようです。絵画でも写真でもなく、動画だけが伝えられる、美しい地球の運動の証です。

星空の色を、高原で眺めた時に感じた鮮やかさに近づくよう「Lightroom」で調整してみます。銀河の彼方からやってきた光を、できる限り感じたまま伝えるための一手間です。

星影の動画が完成したら、その動画をソーシャルネットワークに投稿してみましょう。

「Lightroom」で夜空の色合いを、記憶の中の景色に近づけて、調整します。

ソーシャルネットワーク上にある動画の中から、幾千、幾万のデータを超えて、真っ直ぐに進む光のようにあなたが捉えた光���が誰かに届く。それもまた一つの奇跡なのかもしれません。そして、同じ美しさに共感する無数の人々がつながって新しい光景を送り続けたら、きっとフィードを通して見える世界も変わっていくはずです。

世界が美しい景色で満ちていきますように。