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Centre for Healthcare Innovation

VRで医療トレーニングを効率化

シンガポールのTan Tock Seng Hospitalが主宰するCentre for Healthcare Innovationは、トレーニングの効果を高めるVRモジュールを構築しました。その結果、すべての従業員から知識を深めることができたという評価を得ました。


The Centre for Healthcare Innovation (CHI)は、シンガポールのTan Tock Seng Hospital (TTSH)が主宰するコラーニングネットワークです。2016年10月に、学術界、戦略エージェンシー、医療、地域社会、産業界の国内外のパートナーとともに設立されました。イノベーションの文化を推進して健康の増進と医療アウトカムの向上という目標に向けて、パートナーシップとコラーニングに焦点を当てたトレーニングプログラムに取り組んでいます。

リーンの原則を理解して医療提供を向上させる


CHIは、職場における高い安全性と生産性を推進するための「リーン」手法を集めた、6Sというラーニングシステムにサブスクリプション登録しています。2020年以前から一部のトレーニングコースのオンライン化に着手していましたが、パンデミックでその取り組みはさらに加速。そして、VRを導入することになりました。


「次はVRだろうと思いました」と、リーン思考とデザイン思考を専門とするマネージャ、Loo Wei Hann氏は語ります。「特に医療従事者が日々実践しなければならない専門的なシミュレーションに関してはそうだろうと思ったわけです。リーンの原則について理解を深め、毎日の仕事にもっと効果的に当てはめる。それをサポートできるポテンシャルがVRにはあると見ていました」。


CHIがVRを初めて試したのは2019年のこと。そのときの経験から、今回はうまく行くという自信がLoo Wei Hann氏にはありました。「TTSHの物理的な壁を越えて拡張できるソリューションが必要だったんです」と同氏は話します。「VRトレーニングなら医療提供の質を高められるというのが、我々の仮説でした」。


「VRのおかげで、リーンについて知識を高め、理解を深めることができたと参加者全員が述べています」


CHI社内データ(2023年)

MyCareアプリを通じたVRトレーニング


CHIは、アジア太平洋地域のVRエージェンシー、FXMediaと提携して、専門外来診療の採血室の忠実なシミュレーションをVRに構築しました。


そうして完成したのが、「MyCare VR」というアプリです。このアプリのバーチャルトレーニングプログラムにより、従業員は、リーンの原則に則って無駄なプロセスを見つけ、排除できるようになりました。採血の手順を模したこのプログラムの流れについては、可能な限り正確に再現できるよう、同院の医療チームの助けを借りて設計しました。


CHIがMyCare VRアプリのトレーニングモジュールに組み込んだ主な機能を以下に紹介します。


  • 視覚、聴覚、触覚を利用 - 学習者のタイプ(視覚、聴覚、運動感覚)に合わせて、これらの感覚をバランスよく使わせる
  • アバター - 見慣れた顔を見せ、学習者が人間味を感じられるようにする
  • チュートリアル - 学習者にテクノロジーとコントロールに慣れさせる
  • ミニゲームの挿入 - 認知的な過負荷を防ぎ、学習者の集中力を高める

VRトレーニングの結果


VRトレーニングでどのような成果が得られたのでしょうか。「初期段階では、きわめて期待が持てる結果が得られています」とLoo Wei Hann氏は言います。「文字どおりトレーニング参加者の全員からVRによって6Sの知識の理解が広がり、深まったという評価を得られたのは、非常に素晴らしいことです。それが重要な目標でしたし、達成できて嬉しいです」。


それだけでなく、VRによって、トレーニングプログラムの提供範囲拡大に必須となるその他の基礎固めもできました。


「退屈な座学の時代は終わりました。VRトレーニングは楽しく、濃密で、本物そっくりの模擬環境で学ぶことができました」


CHIのトレーニング参加者の声



トレーニングを通じて従業員にVRを体験させ(VRが初めての人もいました)、学習を実践に応用する方法を理解してもらうことができたのです。トレーニングを無事完了した従業員の年齢と経験年数もさまざまです。また、専門的なシミュレーショントレーニングに限らず、ソフトスキルのトレーニングなどにVRを使えることを証明するうえでも、トレーニングは大いに役立ちました。


VRトレーニングのポイント:


オリエンテーションでVRに慣れさせる


トレーニングの展開に合わせて、CHIは、正式なトレーニングコースの参加者に前もってVRに慣れておいてもらいたいと考えていました。


そこで、トレーニング開始前に基本的なコントロールと機能を一通り体験できる、シンプルなチュートリアル兼オリエンテーションモジュールを構築しました。これにより、参加者は、トレーニングの前にVR環境に慣れる時間を持つことができました。


非営利団体にとってのVRの機会について、詳しくはMeta for Workをご覧ください。