新任クリエイティブ・ディレクターたちによるデビューが相次いだ前シーズンを経て、2026-27年秋冬は、多くのブランドが新体制での2、3シーズン目となるコレクションを発表した。それぞれの世界観や方向性がより鮮明になるなか、ウェアはもちろん、バッグをはじめとする小物にも新たな潮流が浮かび上がった。
5年間アライア(ALAÏA)を率い、今季同メゾンでの最後のショーを迎えたピーター・ミュリエ。小物で飾り立てるのではなく、服そのものの美しさを追求したこのコレクションを、US版『VOGUE』のサラ・モウワーは「静かな完璧主義」と評した。ミュリエは、「イメージのためではなく、実際に着る人のための服を作りました。余分なものを削ぎ落として、バッグもジュエリーもなし。美しさと服、そして素足に近いシューズだけ。それがアズディン・アライアのスタイルだったからです」と語っている。
とはいえ、ミュリエはアライア在任中、数々のアイコニックなバッグを生み出してきた。その代表格が、フランス語で「ダックスフンド」を意味する「ル・テックル」だ。ここ数シーズン注目を集めているスリムなトップハンドルバッグにも、ミュリエの影響を見ることができる。なかでも、ル・テックルを思わせる横長のフォルムで、腕の下にすっと収まるイーストウエスト型のバッグは、今季のランウェイに数多く登場した。
プラダ(PRADA)では、イーストウエストを含む多様なトップハンドルバッグが、スタイリングに物語性と個性を添える小道具のような役割を担った。一方、ジャック・マッコローとラザロ・ヘルナンデスが手がけるロエベ(LOEWE)では、ブランドを象徴する歴史あるスタイルのひとつ「アマソナ 18」を再解釈。新た��カラーや仕上げに加え、ファスナーをあえて開け放ち無造作に携えることで、新鮮な表情を見せた。
シャネル(CHANEL)は、特大サイズのショルダーバッグから、鮮烈なサイレンレッドのクロコエンボスバッグ、繊細な刺繍を施したフラップバッグまで、華やかなバッグを多彩に展開。対照的だったのが、アンソニー・ヴァカレロによるサンローラン(SAINT LAURENT)だ。カーペットが敷かれたランウェイには、「ル・スモーキング」の誕生60周年にオマージュを捧げたテーラードスーツに、ごく小さく細身のエンベロープ型バッグを携えたモデルたちが登場した。クラッチとしても使えるウォレットバッグが、シャープなテーラードルックにさりげないアクセントを添えていたここからは、2026-27年秋冬のランウェイで見えてきた、バッグの5大トレンドを紹介する。
新世代のクラッチ
クラッチバッグがイブニングウェアや社交の場だけのものとされたのはもう昔のこと。近年はよりカジュアルに持ちやすいスタイルが増えているが、今季はロエベやボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)、ザ・ロウ(THE ROW)から、柔らかくふっくらとしたポーチ型が登場している。夜のお出かけにはもちろん、朝の通勤スタイルにも自然になじむ。なかには、そのまま枕代わりにもできそうなほど、クッションのように柔らかなものまで。
進化するトップハンドル
トップハンドルバッグは、片手で持ったり、腕の内側に掛けたりするスタイルが基本。だからこそ、バッグそのものを主役として楽しめるのが魅力だ。エルメス(HERMÈS)、ディオール(DIOR)、プラダから登場した新作は、隠すのではなく、堂々と見せて持ちたいデザインばかり。より構築的なトップハンドルは、ドクターバッグを思わせる方向へ。ミュウミュウやプロエンザ スクーラー(PROENZA SCHOULER)では、丸みを帯びたフォルムが印象的だった。一方、ジョナサン・アンダーソンによる「ディオール シガール」は、遊び心を感じさせながらも、シーンを選ばず活躍するデザインに仕上がっている。
ハーフムーンシェイプ
ゆったりとした“ハーフムーン”型のバッグも数多く登場。ディオール、トッズ(TOD’S)、ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)、ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)など、さまざまなブランドが取り入れている。構築的なフォルムもあれば、しなやかで柔らかなシルエットも。ジョナサン・アンダーソンは、歴史あるアイコンバッグ「レディ ディオール」と同じキルティングを用いながら、トップを大きく折り返し、ほどよく力の抜けたデザインに仕上げた。

























