──オリジナリティについて伺います。K-POPを代表するアーティストとして活動を続けるなかで、ファッション、音楽、カルチャー全般においてG-DRAGON(GD)という名を刻んできました。周囲から与えられる肩書や形式に自らを合わせるのではなく、自分の内側から湧き上がるエネルギーに突き動かされているように見えます。その原動力は、どこから生まれるのでしょうか。
最初から考えや方向性を決めて始めたわけではありません。ある意味、とてもシンプルで、良い習慣があったんだと思います。デビュー前は正解もデータもない状態だったので、とにかく何でもぶつかってみる。真似もするし、ロールモデルも持つ。そのなかで経験しながら、削るものは削り、学ぶものは学び、つくるものはつくる。そうして、自然と残るべきものだけが残ったんだと思います。あえて(他者と)違って見せようと努力したこともありません。その積み重ねがあるからこそ、ジャンルやヴィジュアルが変わっても、人々が違和感なく受け止めてくれるのだと思います。もともと同じことを繰り返すのが得意ではありません。曲を作るときもそうですし、ステージも同じです。その日の空気やコンディションによってメロディやスタイルは変わり、アレンジも変わっていく。それがいつの間にか習慣として身についていたのだと思います。普段から考え事が多いタイプで、アイデアもたくさん浮かびますが、そのぶん何度も何度も削ぎ落とします。それが自分の基本的な性質で、結果として今の制作スタイルになったのだと思います。
──やはり、良い習慣というのは大切ですね。アーティストとして、最終的に叶えたい夢は何でしょうか。
以前は、個人的な夢や目標のほうが大きかったのですが、今はもっと視野が広がりました。年齢を重ね、時代も変わるなかで、互いに与え合う影響を日々実感するようになったからです。だから今は、自分にできること、自分の手が届く範囲で、少しでも良い影響を与えたいと思っています。記録を残すことよりも、20年後、30年後に振り返ったとき、「かっこよかった」と思ってもらえたらうれしいですね。韓国だけではなく、もっと広い世界に対しても。僕自身も素晴らしい先輩たちの影響を受けてここまで来たように、その流れが次の世代にも受け継がれていってほしいと思っています。実力のある後輩を見ても、競い合ったり比べたりするのではなく、ごく自然に「かっこいい」「すごいね」と言える関係でありたい。結局は、自分が影響を与えられる範囲のなかで、できる限り前向きな影響を与えられたらと思っています。
──音楽制作についても、もう少し伺いたいです。近年、さまざまなスケールのコラボレーションステージを拝見していると、原曲の質感を大胆に転換することも視野に入れているように感じます。楽曲が一形態にとどまることなく、まるで“増殖”していくようにも感じました。楽曲を制作する段階から、そうした広がりを見据えているのでしょうか。それとも、その過程で自然と変化していくものなのかが気になります。また、そのなかで決して変わらない核となるものと、あえて柔軟性を持たせている要素は何でしょうか。
どれも当てはまると思います。最初からあるステージやシチュエーションに合わせて作ることもありますし、そうでなくても、結果的に自然とその場に合う形になっていくこともあります。スタジアムなのか、音楽番組なのか、クラブなのか、小劇場なのかによって表現の仕方は変わるので、楽曲そのものも常に変化し得るものなんです。最近はツアーでライブバンドと一緒に回っているので、曲のテンポや雰囲気を思い切って変えることもあります。アップテンポの曲をバラードにしたり、反対にバラードをテンポアップさせたりすることもできます。「無題(Untitled, 2014)」のような曲だって速いアレンジにすることも可能です。なので、最初から広がりを計算して曲を作るというより、そのときどきの状況に合わせて変化させていく感覚のほうが近いですね。ただ、変わらない基準は明確にあります。曲そのものが良くなければならないということです。楽曲さえ良ければ、どこで、どんな形で歌っても、結局は生き残っていくものだと思うんです。どんな形式であっても、中心にあるのは曲そのものですから。それと、制作をするときは、すべてが記録だと思っています。あとで聴き返したときにも、そのときの選択に自分で納得できなければいけない。だから適当にはできません。自分が担当するパートである以上、最後まで責任を持つべきだと思っています。どうせやるなら、きちんとやりたい。意味のない作業はあまり好きではありません。だから、どうしても時間はかかってしまいます。
──近年は、さまざまなジャンルのアーティストとのコラボレーションを重ねています。それぞれのフィールドで独自の世界観を持つアーティストたちと、ひとつのステージを“共有”しているような印象を受けました。そうしたコラボレーションには、どのような期待を持って臨んでいるのでしょうか。
先ほどお話ししたように、根底には通じ合うものがあるんです。それに、責任感のようなものも少しあります。音楽に限らず、美術でもファッションでも、それぞれの分野で素晴らしい仕事をしている人を見ると、もっと多くの人に知ってほしいと思うんです。例えば、お店でもそうですよね。必ずしも有名ではなくても、本当においしい店があれば誰かに教えたくなるみたいな。僕には、それに近い感覚があるようです。僕自身がアーティストを発掘してプロデュースする立場ではありません。でも、自分のステージを通して、そういう人たちを紹介することはできます。だから、ある人にはイベントのように映るかもしれませんが、僕にとっては、そのステージがそのアーティストを知ってもらうためのひとつの架け橋になることのほうが大切なんです。
それに僕は、“初めての挑戦”をあまり怖いと思わないタイプで、むしろそういう挑戦を率先してやってきたほうだと思います。その過程でいつも感じるのは、いちばん騒がれるのは最初だけだということです。結局、大切なのは、その人が自分のフィールドでどれだけ確かなものを持っているかではないでしょうか。料理が上手な人はどこへ行ってもおいしい料理を作るし、服作りが上手な人は、どんなブランドに携わっても良い服を作る。歌が上手な人もまた、どんな場所でも上手に歌います。だから僕は、ジャンルよりも、その人自身を見るようにしています。ビートボクサーも、Bボーイも、ダンサーも、みんな素晴らしいアーティストです。ただ、そうしたジャンルには、まだ十分に光が当たる機会が多いとは言えないと感じています。だからこそ、「自分のステージで一緒に表現したら面白いんじゃないか」と思うんです。そうして、「この人とこんなことができたら面白そうだ」と思える瞬間が訪れたら、それを自然な形でステージに落とし込んでいく。結果として、互いにとってプラスになるような形になっています。
海外で公演をするときも、考え方は同じです。どうすればその国と少しでも距離を縮められるかをいつも考えています。海外のアーティストが韓国で公演をして、韓国語で挨拶をしてくれたり、韓国の曲を少しでも歌ってくれると、やっぱりうれしいじゃないですか。だから僕も海外でパフォーマンスをするときは、その国の文化や言葉を少しでもステージに取り入れるようにしています。そういうことって、ファンにとってはすごく大切なことだと思うんです。結局、お互いを好きになれば、自然と距離は縮まっていくものですから。僕のファンが韓国語を学ぶのも、きっと同じ理由ですよね。だから、こうしたコラボレーションや新しい試みも、長い目で見ればすべてがつながる過程なんです。どうせやるなら、少しでも意味のある形にしたい。大きなことでも、小さなことでも、そこに意味があるなら、それで十分だと思っています。
──今日、シャネルのコレクションを纏い、カメラの前に立つ姿を見ながら、職人たちが長い時間をかけて培ってきた技術やディテール、そしてそれを最後まで貫く姿勢が、はっきりと表れているように感じました。同時に、コレクション全体にユーモアやウィットが自然に溶け込んでいる点も印象的です。そうした在り方は、ディテールを徹底的に突き詰めながらも、常にしなやかな感覚を失わないGDの音楽制作やステージづくりにも通じるものがあると感じました。
子どもの頃から服が好きで、ファッションは純粋に好きだからしていることなんです。だから今もこうしてファッション撮影を続けています。誰かに言われてできることでもないじゃないですか。基本的に華やかなものは好きですが、ただ足していけばいいというものでもありません。むしろ、削ぎ落とすことを知っているほうが大事なんです。シャネルに触れるたびに、そのことを実感します。このブランドは、それをよく知っている。シーズンごとにテーマは変わっても、その根底には決して揺るがない基準があります。素材やディテール、仕立て──そうした基礎がしっかり築かれているからこそ、ロゴがなくても袖を通した瞬間に、何かが違うと感じるんです。説明を必要としない状態、と言えばいいのでしょうか。トレンドを追いかけるのではなく、すでに揺るぎない基準があり、そのなかで変奏を重ねていく。むしろトレンドというものが存在しないように感じるほど、一貫しているように見えます。僕は、それこそが真のかっこよさだと思っています。着飾っていてもかっこいいし、飾らなくてもかっこいい。シャネルはそれを知っているブランドなんです。それを守り続けることが、いちばん難しい。でもシャネルは、それをずっとやり続けています。ココ・シャネルの時代から受け継がれてきたその姿勢が、今も変わらず息づいていることもそうです。だから僕は、シャネルというブランドには、「かっこよさを知っている」という印象をいちばん強く抱いています。
──最近、思い描いていることはありますか。
いろいろと思い描くことはよくありますが、あまり先のことまでは考えないタイプです。今は、どちらかというと近い将来に予定していることを考えている時間のほうが多いですね。最近は、BIGBANGのステージのことで頭の中がいっぱいです。本番を迎えるまでは、「どうすればもっと良くなるだろう」と、そのことばかり繰り返し考えています。そして、一度終わると、今度は「次はどうしよう」とまた考え始める。今年はBIGBANGデビュー20周年という節目なので、「20周年にふさわしいものにするにはどうすればいいか」、今は、そのことで頭の中がいっぱいです。
Photos: HEEJUNE KIM Direction: KIHOH SOHN Styled: GEEEUN Text: MINJI LEE Hair: Taehyun at Mizangwon Makeup: Hea Kyung Lim Manicure: Eunkyung Park at Unistella Set Design: Seoyun Choi at Da;rak Translation: Naco Adaptation: Yaka Matsumoto
From: VOGUE KOREA
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