BEAUTY / WELLNESS

カフェインを摂っても平気な人、眠れなくなる人。その違いは体質と遺伝子にあった?

1日に何杯もコーヒーを飲んでも夜ぐっすり眠れる人もいれば、1杯だけでもカフェインの効果を強く感じてしまう人がいる。その代謝スピードを決める3つの遺伝子型タイプ、耐性が低い4つのサイン、カフェインとの上手な付き合い方について、UK版『VOGUE』が医師に聞いた。
カフェイン 耐性
Photo: Cavan Images /Lily B/Getty Images

2026年の今、私たちの体について、もはや知らないことはほとんどないと言ってもいい。睡眠の質から、食べたものが腸内フローラにどう影響するのか、さらには1日の血糖値の細かな変化まで、かつて謎だった体のことが次々と可視化されるようになった。そこで最近、自分の体のことをさらに掘り下げて知りたいと思った私は、ある検査を受けることにした。自分の遺伝子にはどんな秘密が隠されているのか、そして、その情報を健康にどう役立てられるのかを知るため、「10X Health System」という遺伝子検査を受けてみたのだ。

検査結果でわかったのは、私は解毒機能がやや心もとないこと。そして何より大きな発見だったのが、遺伝的にカフェインをうまく代謝できない体質だということだった。以前から、コーヒー抹茶、カフェインを含むお茶を飲むと、どうにも調子が狂うような感覚があり、カフェインが体質的に合わないのではと薄々感じてはいた。

タイプは3つ。遺伝子でわかるカフェインの代謝速度

「摂取したカフェインの約95パーセントを分解する役割を担っているのが、肝臓にあるCYP1A2という酵素です」と説明するのは、10x Healthのパートナー企業のひとつであり、点滴療法における世界的リーダー企業のReviv Globalのプレシジョン・ニュートリション部門を率いるパスカル・リッチ医師。「そして、その分解スピードを左右するのが、rs762551と呼ばれるSNP(一塩基多型)です」

噛み砕いて説明すると、rs762551とは主に肝臓で薬物やカフェインなどの化学物質を分解・代謝する酵素(CYP1A2)の働きを決める遺伝子、CYP1A2酵素遺伝子に見られる遺伝的変異のひとつで、体がカフェインをどれくらいの速さで分解できるかに関係している。専門用語を覚える必要はないが、これらがカフェインへの耐性を左右するという点は知っておきたい。私が受けたような遺伝子検査では、CYP1A2遺伝子の型によって「AA」「AC」「CC」の3タイプのいずれかに分類される。

健康な成人の場合は、1日のカフェインの摂取量を400mgに収めることをブリティッシュ・ハート・ファンデーションは推奨している。カフェイン入りの飲料を日常的に飲んでいる人も、たまに嗜む程度の人も、自分にはどれくらいの耐性があるのか気になるところではないだろうか。

AA型:カフェインの代謝が速いタイプ

AA型の人は、CYP1A2酵素が効率よく働くため、比較的早くカフェインを代謝し、体外へ排出できるという。リッチ医師曰く、体内に吸収されたカフェインの血中濃度が半分になるまでの時間(半減期)は通常、約2時間半から4時間半。つまり、18時にコーヒーを飲んでも、夜ぐっすり眠れる人はAAタイプである可能性が高い。

AC型:カフェインの代謝が中程度のタイプ

AC型の人は、両親から受け継いだCYP1A2遺伝子のうち、一方が通常に機能するタイプ、もう一方が働きの弱いタイプであることを示す。そのため、カフェインを代謝する能力は可もなく不可もなくと言ったところ。検査の結果、私もカフェインの代謝が中くらいのこのAC型だった。

CC型:カフェインの代謝が遅いタイプ

CC型はカフェインの代謝が遅い遺伝子型をふたつ持つタイプ。「AA型と比べて、カフェインが血中にかなり長く残るため、コーヒーを1杯飲んだあとの血中カフェイン濃度も高くなります」とリッチ医師は説明する。「簡単に言えば、ふたりがまったく同じラテを飲んだとしても、CC型はAA型より長時間にわたって、カフェインが体内に残り続けます。つまり、CC型の人はカフェインのプラスの効果もマイナスの影響も、より長く、より強く感じやすいということです」

カフェインに弱い4つのサイン

遺伝子検査を受けなくても、自分がカフェインにどれくらい強いのかを推測できるヒントはいくつかあるとリッチ医師は言う。

1. 不眠・睡眠の質の低下

カフェインを摂るのは午前中だけにしても、なぜか寝つきが悪かったり、睡眠の質が低下したりするなら、カフェインの代謝が遅いタイプの可能性がある。

2. 不安感や気分の浮き沈み

不安感を覚えたり、そわそわして落ち着かなかったり、神経質になったりするのも、カフェインの代謝が遅い人に見られるサインのひとつです」とリッチ医師。特に、カフェインを200mg以上摂取したときに不安などを感じるのであれば、カフェインに弱い可能性が高いと付け加える。頭が冴えすぎたような興奮状態が長く続く場合も注意したいという。

3. 動悸

カフェインに弱い体質だと、心臓がバクバクしたり、動悸がすることがある。ただし、こうした症状はほかの重大な病気のサインの可能性もあるため、症状が長引いたり、悪化していると感じる場合は医療機関に相談を。

4. 胃腸のトラブル

胃の不快感や胃酸の逆流、下痢なども、カフェインが体に合っていないことを示すサインのひとつ。

耐性がなくても、カフェインを楽しむには?

カフェイン コーヒー 耐性
Photo: Tatiana Maksimova/Getty Images

1日のカフェイン摂取量を減らす

1日のカフェイン摂取量を200mg未満(コーヒー約1杯分)に抑えることをリッチ医師は勧める。尚、ダブルショットのコーヒーには約120〜160mg、シングルショットには約60〜80mgのカフェインが含まれるという。

摂取するタイミングに気をつける

「カフェインはなるべく午前中に摂るのがおすすめです。代謝が遅い人ほどカフェインが体内に長く残るため、遅い時間に飲むと睡眠を妨げる可能性が高くなります」とリッチ医師は言う。自分のライフスタイルに合わせて、カフェインを摂取する時間帯を決め、それを徹底的に守ること。朝の1杯にとどめておくのも、正午以降は完全に避けるなど時間で区切るのもひとつの方法だ。

低カフェインの飲み物を選ぶ

カフェインの摂取量を大幅に減らしたいけれど、コーヒーやお茶を飲む習慣そのものは手放したくない人には、比較的カフェインの含有量が少ない飲み物を代わりに選ぶのがおすすめ。例えばほうじ茶100mlあたりに含まれるカフェインの量は約20mg。ダブルショットのコーヒーを日常的に飲んでいる人なら、緑茶に置き換えるだけでもかなりの減量になる。

2杯目からはデカフェに

コーヒーであれ、紅茶であれ、2杯目からはデカフェに切り替えることにしておくと、無理なく1日のカフェイン摂取量を減らせる。

急なカフェイン断ちには注意

「カフェインは突然断つのではなく、徐々に減らしていくほうが、結果的に摂取量を抑えやすくなります」とリッチ医師。「頭痛や疲労感といった離脱症状を和らげることにもつながります」

また、リッチ医師によると、抗生物質、一部の循環器薬、経口避妊薬、抗うつ薬などは、CYP1A2酵素の働きに悪影響を及ぼすことがあり、もともと体内に残りやすいカフェインの作用をさらに長引かせる可能性があるという。カフェインを摂取することで、薬そのものの効き目が弱くなったり、思わぬ副作用が生じることもあるため、薬を服用中の人は必ず医師に相談することを彼女は強調する。

Text: Morgan Fargo Adaptation: Anzu Kawano
From VOGUE.CO.UK