先日、コモ湖で行われた2026年サマーコレクション「Essence of Summer」のローンチイベントでは、メキシコ人シンガーソングライターのDannaをはじめ各国からインフルエンサーがお祝いに駆けつけた。コレクションのインスピレーションでもある「夏の雨」を体感すべく突如雨に見舞われた当日だったが、アート、文学、音楽などの芸術が交わる地、コモ湖の魅力をブランドの哲学と重ね合わせた華やかでアットホームなひとときとなった。
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そして心温かくゲストたちを迎えてくれた、デザイナーのA. フィリッポ・フィカレリとフランチェスコ・テルッツォたちに特別にインタビューを敢行。2026年サマーコレクション「Essence of Summer」誕生秘話から今後のヴィジョンまでを聞いた。
──2026年サマーコレクション「Essence of Summer」はどのようにインスピレーションを得たのでしょうか? このコレクション誕生のきっかけとなった特別な出来事やアイデアはありましたか?
A. フィリッポ・フィカレリ(以下、AF)2026年に向けてこのプロジェクトに取り組むことは、ブランドにとって、そしてコレクションの発展にとって重要な意味を持っていました。「Pandora ESSENCE」コレクションは美と自然、オーガニックなものというアイデアに基づいて展開してきました。自然が一つの「言語」として何を表現しているか、その反映を表現することがテーマです。
2026年は、この「象徴としての言語」というアイデアを、コレクションの中でさらに増幅させたいと考えました。夏のエネルギーを捉えながら、同時に自然とのつながりやバランス感覚も表現する──つまり、夏というアイデアの内側にある「二重性」を表現したいという思いがありました。
そしてこの考えから、コレクションに新しい「フォルム」を生み出すというアイデアが生まれました。これまでのコレクションはオーガニックで精緻なものでしたが、今回はバランスとエネルギーの両方を象徴するフォルムを作りたかったのです。そこに、特別なパヴェのディテールを組み合わせました。
このアイデアを私たちは「Summer Rain Essence(サマー・レイン・エッセンス)」と呼んでいます。「夏の雨」です。というのも、夏の雨というのは非常に儚い、エフェメラルな要素だからです。やわらかくもあり、力強くもある。爽やかでもあり、予測できないものでもある。そこにある種の二重性が見えてきます。私たちはこの感覚を捉えたいと思いました。
デザインのプロセスは興味深いものになりました。最初は「雫(しずく)」の形からスタートしたのですが、そこから二つの異なる方向性で展開していきました。一つは文化的な方向性──おそらく私たちの西洋的、イタリア的な参照点であるモニュメンタルな彫刻的表現です。
しかしもう一つ、私たちはアジアへの旅、そしてアジアで過ごした時間から大きなインスピレーションを得ました。そこで、雫の「輪郭(プロファイル)」だけを強調するのではなく、その輪郭が浮かび上がらせる「余白」「無」そのものを際立たせることを決めました。輪郭そのものが、まさに「空白」の形を見せてくれる──これもまた、このプロジェクトで捉えたいと考えていた「二重性」を、デザインの中にもう一つの要素として織り込むことになりました。
そして、ある特定の「気づきの瞬間」について正直にお話しすると──昨年アジアを���したとき、まさにこの「無」やバランスを捉えたいというアイデアが生まれたのです。「生きる」こと、自分たちのエネルギーを「体験する」ことの新しい考え方でした。そしてコペンハーゲンに戻ったとき、オーガニックなもの、自然というアイデアが、私たちにとって重要なものになっていったのです。
自然が単なるインスピレーションの源泉であるだけでなく、一つの「言語」であるということを反映させることが、私たちにとって本当に大切でした。そして私たちは、すべての大都市が自然とつながろうとしている新しいアプローチを発見しました。人々の中に、その新しい雰囲気──そういうものを見出したのです。これこそが、私たちが表現したいと思っていたものなのです。
──アジアにいる間にそのアイデアを思いついたというのは、とても興味深いですね。
AF ええ、私たちにとっても興味深いことでした。あちらにいる間、本当に多くのインスピレーションを吸収しました。今、人々が都市と自然の間で生活のバランスを取り直しているのを実感しています。そうしたバランス感覚をより強く感じるようになりました。すべてがうまく混ざり合っているのです。自然の中にずっといたいわけでも、都市にずっといたいわけでもない──すべてが混ざり合っている。これこそが私たちの心を惹きつけるものであり、すべての要素をうまく組み合わせることこそが、正しい生き方になるのだと思います。
そして、こうしたすべてを私たちのジュエリーの中に捉えたいと考えています。なぜなら、こうした「ムード」をジュエリーは捉えることができる、とても特別な存在だからです。私たちのジュエリーには、私たちのインスピレーションすべてを込めることができますが、それを身につけるお客様、すべての方々が、それぞれのエネルギー、経験、物語を持ち込んでくれます。そうして、それは創造性をめぐる一つの「対話」になっていくのです。
──とても興味深いですね。このコレクションを制作する上で、最も難しかった点は何ですか?またこだわった点についても教えてください。
AF そうですね、こだわった点の一つは、まさに「雨」、つまり「雫」という、コントロールできないものを表現することでした。完璧に固定されていない。そこで、このパヴェを定義する際、いわば「ランダム」な──フラッシュセッティング(石を縁取りなく平らに留める技法)で、それぞれの石が非常に特別な位置に配置されるようにしました。中心にきっちり配置するのではなく、表面上にランダムに、横に寄ったりしながら配置する。つまり、見た目はランダムですが、実は緻密に計算された「ランダムさ」──まさに雫が上から下に流れていくような、そんな広がり方です。これが、最もクレイジーなアイデアだったと思います。
それぞれのピースには特別なセッティングが施されています。ネックレスを見ていただくと、大きなパヴェがセッティングされていることがわかりますが、小さなパヴェは、少し中心に寄っていたり、少し横にずれていたりします。コレクションの各アイテムを、それぞれ特定のセッティングで丁寧に研究しました。「雨」──統制されていない位置にある雫──という感覚をリアルに表現するためです。パヴェのセッティングに取り組む作業は、このアイデアにとってに重要なものでした。
もちろん、すべてのピースが特別なものですが、リングには特に興味深い点があります。すべての角度からボリュームについて考えました。見ていただくと、フォルムが短くなっていったり、シャンク(指輪の輪の部分)も、ある部分は細くなり、ある部分は太くなっています。アイテム全体が、直線的に伸びていく表面と、そこから動いていく部分とで構成されていて、光の効果を生み出しています。これもまた有機的です。彫刻的でありながらオーガニックなフォルムを、ここで凹ませることで、このプロジェクトを象徴するようなデザインになりました。
フランチェスコ・テルッツォ(FT)難しかった点についてですが、もちろん、コレクションが彫刻的な性質を持っているとき、サイズを小さくしていく作業は、より難しくなります。私たちにとって重要だったのは、大きなピースと、同時に小さなスタッド(ピアス)や小さなネックレスとの間のバランスを保つことでした。一つの小さなピースの中に、三次元性を凝縮させること──この「デザインコード」をストアボーダー(店頭で展開する範囲)の中に落とし込むことは、とても興味深い挑戦でした。
──デザインと職人(クラフツマン)の間で、これまで何度も話し合いを重ねながら、とても良い協業をされてきたのですね。
AF はい、なぜなら、私たちはプロジェクトの「感覚」そのものを伝えたいからです。デザインのオーガニックさ、セッティングの仕方、製品の仕上げ、すべてがクラフツマンシップの観点から、とてもクリエイティブなものになっています。
つまり、私たちはパンドラの職人たちの技術を見せたいのです。それは、アイデアを「解釈する」能力でもあります。私たちと一緒に「共創」し、私たちの想像を実現してくれる能力です。すべてが本当に丁寧に扱われていました。私たちの会社には、彫刻的なアプローチに対する素晴らしい技術があります。そして、この特別なセッティングにも注目をしていただきたいですね。石の配置についても、すべて一つひとつ「手作業」で行われています。これは、クラフツマンシップの観点から見ても重要な作業です。
──工場はタイにあるのですね?
FT はい、バンコクです。
AF 私たちのチームは定期的にオンラインで会議を行っています。ただ、私たちのチームは毎月バンコクに出向いていますし、年に3〜4回は実際に現地に飛びます。私たちの金細工師(ゴールドスミス)たちもすべて現地にいます。私たちにとって、クラフツマンシップに関する作業は、実際に現地にいて物理的に取り組むことがとても重要です。
FT 特に、立体的で、フラットではないものに取り組むときは、カット(石をカットする)チームと一緒に、実際にその立体物を見ながら作業する必要があります。型(モールド)と一緒に作業することにも重きを置いています。
AF 私たちはまた、進化を見るためにテクノロジーも活用しています。レジン(樹脂)で印刷して、造形的な部分を確認したりもします。そうすることで、テクノロジーを使いながらも、常に「つながり」を保つことができるのです。しかし、何よりも「物理性」が大切です。アジアに出向くときはコレクションの様子や、進化の過程を見るようにしています。
それから、私たちのチームのデザイナーが常に現地にいて、工場のあるタイのチームと一緒にフィット(アイテムの収まり)について作業をしています。ですから、彼らがタイにいたとしても、私たちのチームの重要な一部なのです。私たちは本当に、とても密接につながっています。最初にムードボードでアイデアを共有することを大切にしていて、その後、詳細を示し、スケッチを共有し、そして最初のモールド(型)も共有する──そういった何度ものやり取りを重ねていきます。
──パンドラのジュエリーは、自由や選択、そして自己表現の手段を与えることで、女性をエンパワーしています。ジュエリーの「より深い役割」について、そしてPandoraブランドの哲学についてどのようにお考えですか?
AF ええ、これは私たちにとって根本的なテーマです。何と言えばいいでしょうか。私たちにとって、ジュエリーはまさに「象徴的な要素」を持っており、それは人々のアイデンティティと結びついていなければならないものなのです。ジュエリーは、人々が自分自身の表現、自分自身のアイデンティティを作り上げる手助けをしてくれます。そしてジュエリーは非常にパーソナルなものです。自分の人生や物語を込めることができ、肌に近いところで、とても親密に、とても個人的な形で身につけるものです。
FT 指輪をどう選ぶか、チャームをどう組み合わせるか、ネックレスの長さをどう決めるか、ピアスをどれだけ開けるか、これらはすべて個人的な選択であり、それが一つの「文化的なアプローチ」になっていきます。今、ジュエリーが私たちの文化を定義する上で、つまり私たちのアイデンティティを定義する上で、ますます重要な要素になっていることを感じています。これがパンドラの核となる要素であり、パンドラが「表現の産業」の中で目指す存在、そして感情的なレベルで果たしたい役割なのです。つまり、私たちは「象徴的なジュエリー」のための目的地になりたいと考えています。人々が、ジュエリーを通じて、スタイリングを通じて、あるいは一つひとつのピースに結びついた思い出を通じて、自分自身のアイデンティティを表現できる場所です。
AF これはパンドラの新しい解釈です。文化的に意味のある、そして非常に個人的なアイデンティティ。私たちはこれに力を入れたいと考えています。そしてこれこそが、パンドラにとって創造性がこれほど中心的な意味を持つ理由です。創造性を一緒に刺激するというアイデアを通じて──つまり、これは「対話」なのです。私たちは何かを押し付けるのではなく、最終的にはお客様と「共創」したいと考えています。これが私たちのアプローチです。
──昨今、女性たちはまさにそれを求めているように感じます。
AF はい、その通りです。そしてそれは私たちのビジョンそのものでもあります。私たちはお互いからインスピレーションを得ていて、結局は常に「人」からインスピレーションを得ているのです。
──最後の質問です。あなたにとってアイコン、あるいはインスピレーションの源となる女性はいますか?
AF 私たちは、ただ「興味深い人々」を見ているのだと思います。特定の「人生のひな形」のようなものは見ていません。もちろん、それぞれのコミュニティにとって興味深い存在である人々──それが私たちにインスピレーションを与えてくれます。「女性」について話すとき、私たちは若い世代に注目しますが、それは年齢のためだけではありません。彼女たちが自分自身のアイデンティティをどう築きたいかという、その「熱量」のためなのです。もはやそれは「年齢」のアイデアではなく、むしろ「姿勢・アティチュード」のアイデアになっています。
FT 結局、私たちにとって最大のインスピレーションは「人」です。私たちは人々に寄り添い、人々と語り合うことが大好きですどのようにジュエリーを身につけているか、ジュエリーに何を見ているか。フィリッポが言ったように、年齢の問題でもジェンダーの問題でもありません。セレブリティについて聞かれることもありますが、すべてのスタイルは素晴らしく、それぞれが自分自身の創造性を使って自己表現をする、歴史の最前線にあるものです。だからこそ、私たちはより「人々を観察する」ことに重きを置いています。私たちには一人のミューズはいません。パンドラはグローバルなブランドであり、本当に多様な人々がいるからです。
AF 私たちは人々の「多様性」そのものに注目しようとしています。そして、女性や演劇についての物語を作ったり、人々がどう身につけるかについての物語を作ったりするよりも──私たちはむしろ、すでに申し上げたように、皆さんの周りの「クールなコミュニティ」にインスピレーションを与えたいと考えています。これが私たちの目指すところで、そこから何かを生み出していきたいのです。これが今日の私たちのビジョンに近いものです。
もちろん、音楽やアート、映画など、さまざまな要素から刺激を受けています。私たちはそれらをすべて捉えようとしています。文化がどのように変化していくか、それが私たちを本当に惹きつけるものなのです。
お問い合わせ/パンドラ カスタマーサービス 0470-50-2638
Photos: Courtesy of Pandora









