BEAUTY / EXPERT

美容もエイジングも“グレー”がいい。梨花(52)の語る、ミニマルな生き方とスキンケア哲学

52歳の誕生日を迎え、さらに活躍の幅を広げるモデルの梨花。ライフスタイルもファッションも世の女性たちの憧れの的である彼女がスキンケアで大切にするのは、“グレー”であることなのだそう。肌や美容について梨花がどんな哲学を持っているのか、インタビューを通して深掘りする。
美容もエイジングも“グレー”がいい。梨花(52)の語る、ミニマルな生き方とスキンケア哲学

40代はハワイ、そして50代に入ってからはカリフォルニア州へと住まいを移した、モデル/タレントの梨花。10代後半でモデルデビューしてから現在に至るまで、そのファッションライフスタイルは常に女性たちの支持を集め、活躍の場も住む場所も自在に変えながら圧倒的な存在感を放つ。2022年秋に自身がプロデュースするトータルセルフケアブランド、アクニー(AKNIR)を立ち上げたこともあり、最近ではビューティーに関することも精力的に発信。並外れたこだわりと独自のスタイルで多くのファンを持つ彼女だが、肌のケアについてはどのようなフィロソフィーを持っているのだろうか。今回のインタビューを通して、スキンケアのみならずどのように感性や生き方を磨いてきたのかが見えてきた。

「最優先が息子、というのは絶対」。子育て移住でカリフォルニアへ

「実は、ハワイもそうなんですがカリフォルニアへ移ったのも、子育て移住なんです」。13歳の息子の教育のためにと、昨年の秋、息子の進学のためにと選んだ地が西海岸だった。「何を選ぶかは彼次第なんですけど」と前置きしつつ、「最終的にどんなものを選ぶとしても、息子にはできるだけさまざまな価値観に触れてほしいという思いから日本国外での子育てを選びました。今年で11年目のアメリカですが、ずっとスーツケースひとつで旅している感じ。アフリカやカンボジアなど世界中のあちこちへ行きました。最優先が息子、というのは絶対。ライフスタイルで住む場所を選んでいるわけじゃないんです」

環境の変化を通して、それまでになかった視点で世の中をとらえられるようになったという。「自分一人だったら、ここまで大胆に動けていたのかなというのは疑問符。子どもを通していろんな景色を見させてもらっているなあって。東京にも仕事などでよく帰ってきているのですが、昔とは違った日本の見方をできるようになったと感じているし、世界のことに対してもそうで、若い頃にはなかった感覚が備わってきている実感があります。40代全般を通して子育てしてきたことが、とてもいい経験になっています」

ハワイで見つけた“原点回帰”の精神

「今思えば、最高に過ごしやすかったな」と、ハワイでの暮らしについて振り返る梨花。「30代後半から意識的に断捨離する生き方を選んできたので、ハワイの地に根付いている“これさえあればいい”といった、人として生きることに原点回帰する在り方は、自分にとてもフィットしていました」

自身のYoutubeチャンネル「梨花です」でもクローゼットを大胆に断捨離する様子を披露し、ファンから大きな反響を得ている。「常に“変わりたい”とか“前に進みたい”という気持ちがあって、『今まで』と『これから』なら、絶対的に『これから』にフォーカスしたい。欲張りなので、『これから』のためにできるだけたくさん新しいものを自分に入れたいから、躊躇なく古いものは捨てる。捨てないと自分という容器に入らなくなっちゃうから、思い切って捨てていくっていうことを続けています」

「一回入れるのが好きなんですけど、いっぱいを抱えたままは生きていけないですよね。だから、本当にこの人生で自分に入れていくことってなんなのかと考え、整理しながら生きている感じ。“これさえあればいい”という、ミニマムさを保ちながらずっと暮らしています」

白か黒のどちらかが正解なわけじゃない。自分の感性を信じて

一方でカリフォルニアでの暮らしは、日々プレッシャーを感じることが多いという。「何というか、まるで“修行”です。情報がどんなに多くても、結果、自分がどうしたいのか、何をチョイスして生きていくかという慧眼が鍛えられます。それにかなりの学歴社会だし、競争社会。上位1割以外は置いていかれる……そんな感覚に襲われるんですよね」

「日本ってスピードや競争にそこまでついていけなかったとしても、なんとなく置いていかないでいてくれるし、十分綺麗で、十分優しさや親切さがあって、という環境です。カリフォルニアは……ひと言でいうと、ものすごく怖い! 住むのに覚悟がいるのを感じていて、だからこそ見えてくるものもあります。アメリカはグラデーションがあまりなくて、白か黒かと、とても極端。情報量が多いというのは同じなんですが、東京は中間層やグレーな価値観の人たちの層が厚いというイメージです」

「どっちも正解じゃないじゃんって思うし、だからこそ、自分で考える力を培うことを大事にしたいと強く思うんです」。息子にも勝ち負け以上の価値観や幸せを感じてほしくて、よく旅をするようにしているのだと話す。白か黒か、勝ちか負けか、という二項対立の構図は金銭感覚やビジネスに限らず、美容のことも同様なのだそう。

美容もエイジングも“グレー”がいい。梨花(52)の語る、ミニマルな生き方とスキンケア哲学

梨花自身はスキンケアやエイジングにおいても、やはり極端ではなく中庸が美しいと考える。「今回ローンチしたスキンケアラインの処方も、植物由来とケミカルの成分のいいとこ取りをして、バランスよく配合しています。それぞれに強みがあると考えているから、最終的には自分の価値観で何をチョイスしてミックスするかを大事にしています。自分の感覚を信じたいんです」

「使う立場としてどんなコスメを選ぶか、というときも一緒で、世の中的には“デパコス”、“プチプラ”、“ナチュラル系”などジャンルで分けられていますが、私にとってはどれも同じ──並列です。どれかひとつだけ、ということはないというのが、私の性格。決めつけないほうがいいと思うし、とはいえ、いろいろある“好き”の中で一番これが多いな、とかはありますが、盲目的に何かに固執するということはないです。それぞれにいいところがあると思うから、自分にとってどうなのかを見極めたい。そのためには、まず全体を知る必要があります」

肌に概念が“入ってくる”から、スキンケアするとき何をイメージするかがすごく大事

さらに、「マインドがスキンケアに与える影響は大きい」と梨花は続ける。「コンセプトやパッケージから得られる先入観を抜きにすれば、スキンケアってシンプルに、肌にのせたときに気持ちいいかどうかですよね。一方で、人間って概念にとても影響を受ける生き物。スキンケアするときも、塗るときにどんなイメージを持っているかというのは情報としてすごく肌に影響すると思うんですよ。量子力学的にもそういったことが言えるのかも。スキンケアを選ぶとき、そのコスメブランドが掲げる概念が自分にフィットするかどうかという視点で選ぶといいんじゃないかな。自分の感覚と一致しているかどうかが、大事です」

そう語る梨花が、何においても譲れないのは“心地よさ”だ。「スキンケアもそうですが、住む場所、暮らしの空間、食べるもの、旅する先など、どんなジャンルにおいても、やっぱり“心地よさ”かな。自分にフィットすることを見極める感覚を信じているし、だからこそインプットが溢れすぎると感度が鈍ったり感覚を調整する力が落ちたりするから、断捨離するんです」。自分の感性を信じるために、膨大なインプットと、それに相応する断捨離とを繰り返す。そうやって自分のセンスと環境を常に新陳代謝させる生き方が、唯一無二の存在感とたおやかな美しさを生み出している。

そんな彼女が満を持してスキンケアラインを発表。2025年7月24日(木)の発売が待ち遠しい。

Photos: Courtesy of AKNIR Interview & Text: Rieko Kosai

READ MORE